ParaViewは,フリーの3D描画ソフトウェアです.その特徴は
- 無料である.KITWAREからどんどんダウンロード
- 遠隔地のコンピュータで並列描画させて出力を得ることができる.もちろん手元の貧相なPCでも稼働する
- 多様なデータ読み込み・出力に対応している
- 標準データ形式VTKが無類に強力である
- PDFやEPS出力が汚い.JPGなどで高解像度にしたほうがマシ
- 自家ビルドするとよいという怪しげな噂があるが, その実態はOpenGL1を使っていた2000年ごろは可能であったが,現代のOpenGL2では不可能になり,出資者がいないので放棄されている,ということである.
というわけで,各地の大型計算機センターに導入されています.ここでは,はじめてParaViewを操作する人へのガイドを示します.
- LegacyVTKデータを準備 ParaViewで可視化できるデータファイルVTK(下記参照)を作成する
- あるいは.XML-VTKを準備
- 今風に Pythonを使うとかもアリアリだろ
- ParaViewの操作例 古来,ならふよりなれろ,と申しまして
ParaViewで利用できるデータ形式は, VTKです.VTKには2通りあります.
- 簡単なLegacyVTK. 簡単ですが
一つのファイルに,物理量を一つしか書けない.嘘です- 一つのファイルに,格子系を一つしか書けない.
グリッド点が構成するセルをいちいち定義しないと,セルを利用できない.嘘です境界面を通るフラックスを記述できない.嘘です- 複数のノードが同一のファイルを同時に書き出すことができない.
- データサイズが極めて大きく,読み書きに時間がかかる
- XML-VTK. 読み書きに専用のライブラリーを用いる.
- バイナリーファイルと同様に,データを完全に保存できるので,計算途中経過の保存にも使える
- ファイルサイズは,普通に作ったバイナリーファイルよりも小さいです.
- つまり「計算継続用の保存データ」「描画用のデータ」と区別する必要がありません
- スカラー,ベクトル,テンソル等に名前をつけ,一つのファイルに書き出せる.
- 複数の格子系からなるシミュレーションデータを統一的に扱うことができる
- 格子点,セル,境界面それぞれに別個のデータを記述できる
- 複数のノードの同時書き出しに対応している
- ライブラリーを用いて渦度や発散等,種々の計算を行うことができる
- バイナリーファイルと同様に,データを完全に保存できるので,計算途中経過の保存にも使える
とはいえ,XML-VTKの敷居の高さは50mもあります.単なるデータフォーマットとはいえ,C++, Java, Pythonなどのオブジェクト指向言語以外で記述することは不可能でしょう。我々は超大型巨人ではないので,まずはLegacyVTKでParaViewを利用し,ある程度慣れたらxmlVTKを侵略しましょう.
★もっとも,ファイル形式が違うだけで,必要な概念はLegacyVTKとXML-VTKは同じです.無駄にはなりません.